高齢者に多い病気と、予防、対応

2018年06月25日(月)

 

 

 ファイナンシャルプランナーは老後に備えたライフプランニングだけでなく、親の介護や福祉サービスなどについても相談されることが少なくありません。人生100年時代を迎え、高齢者の心身の状態について確かな認識を持っていることが必要となってきています。

 高齢者になると加齢による身体の衰えに加え、長年の生活習慣を原因とする不調が重なり高齢者に多い病気を発症するケースが多くなります。

 加齢により筋力は低下しますが膝の力は若いうちから衰え始め、握力は50歳を超えると低下が加速します。平衡感覚も高齢期に著しく低下が加速、持久力も低下します。老眼が進み肌の張りは失われます。骨は椎間板の構造が変化し骨粗しょう症なども進行します。動脈硬化が進み腎機能も肺活量も低下、聴覚が衰え脳は減少、認知機能も損なわれてゆきます。これらに疾患が加わると心身の能力は大きく減退することになりりますが高齢者に多い病気は生活習慣病である場合が多いようです。

 ご存知のように生活習慣病は糖尿病、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症など生活習慣が発症原因に深く関与していると考えられる疾患の総称です。糖尿病は自己免疫を基礎にした膵β細胞破壊が原因となる1型糖尿病と肥満や運動不足などの環境要因と遺伝素因が関連しあって発症する2型の二種類があり、日本人の場合95%が2型です。このため薬に加え食事療法や運動療法を行います。脂質異常症は遺伝性のものもありますが高カロリー高脂肪の食事と運動不足などが一番多い原因で投薬や生活習慣の改善が治療の柱となります。高血圧は原因がわからない本態性高血圧が9割ですが塩分摂取量が多い集団ほど高血圧発症率が高くなる事や、有酸素運動の継続による降圧効果も明らかになっているため、塩分制限、カロリー管理、運動などが指導されます。高尿酸血症はプリン体の多い食事や大食、飲酒、肥満なども原因とされ、生活習慣の改善が指導されます。

 生活習慣病の予防には日常生活の中で特に食生活、運動、日常生活動作(ADL)を高く保つことが大切です。食生活の傾向として炭水化物の摂取量が減少し、動物性たんぱく質や脂っこく甘い菓子、甘い飲料の消費量が増加しています。塩分の摂取過剰、野菜の摂取不足、過食などもみられ、生活習慣病の原因になると考えられています。血清総コレステロールは高すぎると心筋梗塞を起こす原因となりますが、低すぎると脳血管がもろくなり脳出血を誘発、肺炎も起こしやすくなります。たんぱく質摂取が不足すると塩分接収量が多くなる傾向があり、腎機能障害や高血圧、ひいては脳出血に繋がるとみられています。食生活はがん発生原因の30%に関わっているとする報告もあります。嗜好品にはたばこやアルコール等がありますがたばこは肺がん、肺気腫、狭心症、心筋梗塞などを起こしやすくします。軽く汗ばむくらいの運動を習慣にし、日常生活動作(ADL)を保って社会文化活動に参加する人ほど長寿であることがわかっています。内臓脂肪型肥満に血清脂質異常、高血圧症、高血糖のうち二つ以上を合併した状態が生活習慣病になるハイリスクな「メタボリックシンドローム」ですが、生活習慣病の予防にはメタボリックシンドローム対策が重要と言われています。

 厚生労働省によると65歳以上の高齢者の死因となった病気は多い順に1、がん2、心疾患3、肺炎4、脳血管疾患です。この他高齢者に多い病気や症候群としては閉塞性動脈硬化症、慢性腎不全、前立腺肥大、パーキンソン病、認知症、尿失禁、転倒・骨折、脱水症状、嚥下障害等があります。これらの多くも生活習慣と関連性が高いようです。高齢化に伴い社会的には離職、配偶者や友人との死別など様々な変化が起きます。これに老化、病気などが重なって精神的にも落ち込み生活不活発病などが進むケースも増えてきます。未病対策も含め心身両面のケアーが求めらており、FPとしては、経済面だけでなくクライエントの心身の状態にも配慮して相談業務を行い、住まいや生活の場などについて適切に提案してゆく必要がますます高まりそうです。

ファイナンシャルプランナー 福本芳朗

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