遺言がないばあいは相続人全員で遺産分割協議を行わなければなりません。
誰が何を相続するかについて、法的に一番効力が強いのは遺言です。遺言がない場合は相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割を決定します。この場合、財産の分け方の目安となるのは法定相続分(相続人が配偶者と子供2人の場合は、配偶者が1/2、子供がそれぞれ1/4)ですがこれはあくまでもメド、相続人全員が賛成すれば遺言と異なる分割でも、法定相続分と異なる分割を行うことも可能です。
このため、実家(土地と家)を所有しているご主人の親御さんが、「実家をご主人に相続させる」と遺言を残していれば、ご主人が実家を相続することになります。ただし、各相続人には遺産をもらえる最低限の権利「遺留分」が規定されています。遺留分は子供の場合法定相続分の1/2になりますので、親御さんが亡くなり、配偶者と子供2人が相続人の場合は、子供はそれぞれ最低でも遺産総額の1/4×1/2=1/8は受け取れる権利が生じます。
ですので、たとえ遺言で「実家はご主人に相続」とされていても、ご兄弟の受け取り分が遺留分に達しない場合は、実家を売却するなど何らかの形でご兄弟に遺留分以上の相続資産をねん出する必要が出てきます。
遺言がない場合は、遺産分割協議になりますが実家をご主人が相続するなら、ご兄弟にも同等の価値の資産を分割しないと話がまとまらないケースが一般的です。実家以外に兄弟が相続できる現金などの十分な資産がある場合は問題ありませんが、相続する資産が実家しかないような場合には実家を売却し、売却して得たお金を分配しないと決着は難しいかもしれません。遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を依頼、それでもまとまらなければ裁判所が審判を行う流れになります。審判では法定相続分の分割で決着するのが通例です。
このため、実家をぜひ相続したという場合は、親に遺言(公正証書遺言が一番確実)を残してもらうのが良いと思われます。その場合でもご兄弟が遺留分を確保できるような遺言内容にしておくことが大切です。事前に親御さんと相続人で話し合い全員が納得行く形の遺言にしておくのが一番良い方法と思います。