本当に役立つライフプランニング(資産設計)とは

2019年08月21日(水)

「本当に役に立つライフプランニング(資産設計)とは?」

 

こんにちは

一般社団法人 くらしの資産設計支援機構 代表理事の福本芳朗です。CFP、社会福祉士、キャリアコンサルタントとして数多くの方々と接してきましたが、30歳前後の若いご夫婦が相談に来られることが意外に多いのが一つの特徴です。意外にも、と感じたのはバブル世代の自分が30歳の頃、将来の資産設計をほとんど考えずに暮らしていたためです。ところが今の30代の多くはよく勉強されていて、家計簿を見せ「これで将来やってゆけるのか?削減すべき支出はどれか?」「夫婦の収入で買える住宅価格の上限はいくらか」「3人目の子供を作ってもやっていけるのか?」など真剣に聞いてこられます。自分で作成したキャッシュフロー表を持参して質問してくる方も珍しくありません。「なぜ、将来の家計を心配するようになったのですか?」と尋ねると、「日本経済の成長は期待できないので給料は上がらない。その一方、年金などは減らされてゆくので将来が不安」と返事が返ってきます。厳しい時代の流れを感じ取り、早めに資産設計をして安心を手に入れようとされています。しかし、本当の安心を手に入れるには、今後の経済や政府の政策動向を正確にとらえた上で夫婦の働き方、資産運用、住宅、教育にかけるお金、その他の支出など多くのポイントを綿密に検討した資産設計を行う必要があります。私たちFPは人生100年時代に本当に役に立つ資産設計やアドバイスを顧客に提供できているでしょうか?

 定年が近い方々も老後の人生設計を確認しに大勢相談に来られます。ずっとサラリーマンをしていた方は、厚生年金に加入し、多くが数1000万円の退職金を受給します。こうした方々はこれまでは一生安心と判断されることが大半でした。つまり、これまでは平均寿命+αで男性85歳までのキャッシュフロー表(長くても90歳まで)を作成し資産残高(持ち家を除く)を分析していましたので、資産残高が一応、プラスのままでキャッシュフロー表が終了するケースが多かったのです。しかし、人生100年時代を想定してキャッシュフロー表を100歳まで作成すると、平均的な収入のサラリーマンの多くの方の資産残高はマイナスになってしまいます。つまり、持ち家を売却するなどの手を打たないと家計破綻しかねない厳しい状況です。100歳までは生きないとしても長生きすると家計破綻域に突入する可能性は少なくないのです。中年以降のライフプランニングには特にスキルが求められます。

 日本はサラリーマンを優遇する事で経済成長、国家の安定を図る政策をとってきました。

このため、サラリーマンは国民年金に厚生年金が上乗せされ、配偶者も第3号被保険者として優遇されてきました。一方、自営業者などは第1号被保険者、国民年金だけで受給額は満額でも月額約6.5万円。国民年金基金などを利用して自分で年金を作って行かないと老後の収支は非常に厳しいものとなります。政府が個人型確定拠出年金を創設し自営業者などの利用上限額を高く設定しているのは、自営業者などの家計破綻を何とかして防ぎたいという願いの現われです。ただでさえ厳しくなりがちな第1号被保険者のキャッシュフロー表は100歳まで延長するとさらに厳しくなりますが、安心な資産設計を実現するためには現実を反映したキャッシュフロー表を作成する必要があります。

 次に、正確な資産設計を行う上で欠かせないのが、多くの顧客が心配する「年金が今後減ってゆく」想定を反映した分析です。厚生労働省の「財政検証結果から読み解く年金の将来」によりますとサラリーマンの貰える年金額は現役世代と比較して(所得代替率)下落し、自営業者等の場合はさらに大きく下落すると予測されます。一方、健康保険料・介護保険料はこれまで上昇してきましたし自己負担額も徐々に増額されてきました。少子、高齢化で社会保障費が増大、国の財政赤字が悪化するなか、国民皆年金や皆保険制度を維持するためには。今後も年金の減額、健康・介護保険料などの増額は避けられない見通しです。年金の減額などを盛り込んだキャッシュフロー表を作成し、資産設計を行わなければ現実とかけ離れたプランになってしまいます。

 さらに、とかく見過ごしがちな支出、家の修繕費や家電の買い替え費、医療費、介護費などもしっかり加算して資産設計を行わないと、想定以上に支出が大きくなり、後であわてることになります。特に、介護費用はプランニングの仕方によって1人数100万円から数1000万円とかかる金額に大きな幅が出るため要注意!認知症への対応や引きこもりの子供を持つ高齢者のライフプランなど、介護・社会福祉サービスの内容、かかる費用も理解して適切なプランを提示する能力がFPに求められる時代です。

 このように現実をしっかり反映した支出を洗い出し、この後、支出予定項目のうちスリム化できるものを削減する作業を行います。そして最後に収入を増やす手立てを講じて、人生100年時代のライフプランを完成させます。

 支出削減には様々なチェックポイントがあり、収入を増やすにも資産運用、年金を増やす方法、キャリアプランニングなど様々な手段があります。これらを知り、人生設計に盛り込んで行くことが、人生100年時代に耐えうる安心を手に入れる道だと思います。人生100年時代、FPの活躍の場は今後増えてゆくと思われますが、これまで以上に高い実務能力が求められる時代となりそうです。

 セミナー「5ステップでキャッシュフロー表が完成!人生100年時代のライフプラン提案術」で、本当に役立つライフプランの作り方を学んでゆきましょう。

 

 

 

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