住宅ローンを選ぶ時の注意点

2018年07月03日(火)

先日住宅ローンのご相談を受けた若いご夫婦は、家計をしっかり管理、堅実なライフプランニングづくりに取り組まれていました。相談内容は2社の金利固定期間10年の固定金利期間選択型35年ローンのどちらが良いか?というもの。金利の安い変動金利型も選択肢に入れていらっしゃるという事でした。

 変動金利型はA社が金利0.725%で、金利優遇―1.85%。B社が金利0.77%で金利優遇―1.6%。一方10年の固定金利期間選択型はA社が金利10年間1.1%でその後の金利優遇―1.4%。B社が金利10年間0.89%で、その後の金利優遇―1.4%という条件でした。 

 変動金利型は一見金利が一番安くみえますが将来のリスクがあるということは理解されていらっしゃったので、まずは変動金利型について、

・半年ごとに金利が見直される。

・ローン返済額は5年ごとに見直される。

・ローン返済額は1.25倍までしか上げられない。

・その結果、金利の上がる率が高いと支払額の全額が利子になり、金を返したつもりでも元本がまったく減らない事態や利子でさえ払いきれない事態も起こりうる。

という仕組みを説明させていただきました。

 

また、

 

・今は超低金利ですがバブルの頃は変動金利が8%台になったこともあり、この30年間の変動金利の平均値は約3.6%である事

・金利上昇と総返済額の変化のシミュレーショングラフをお見せして、変動金利の場合は

 総返済額上昇のカーブが鋭い事

・変動金利が上がった場合、固定金利のローンに借り替えようとしても固定金利が先に上昇してしまっている可能性が高い事

・こうした場合、残額を一括返済できるような資金を持っているケースを除いて、厳しい状況に陥る危険性がある事

・金利の今後は予測することはできませんが、アメリカが金利を上げ始め、ヨーロッパも様子見の気配との見方が強まっている事

など、現在の変動金利のローンの金利が低い反面、将来どのようなリスクが考えられるかについてお話させていただきました。

 10年の固定金利期間選択型は、10年間固定金利で、その後、変動金利型や固定金利期間選択型を選べるというもので、固定金利と変動金利の折衷型とも言えるローンです。固定金利の期間が3年、10年、20年等様々に設定されていて、固定期間が短いほどスタート時の金利は安くなりますが、その後の金利上昇リスクのある期間が長くなる現在の主力商品ともいえるローンです。

 今回のケースではB社の固定金利期間選択型のローンの方が返済総額がやや安くなるというシミュレーションの結果をお伝えしました。お客様は、生まれたばかりのお子様の学費を考えると、固定期間20年のローンも考えている。との事でした。当方からは、その選択肢が良いかどうかは、将来の収入、支出、資産、負債の変動を試算してみないとはっきりしたことはわからない事、しかし年収や大まかな支出状況を伺った感触としては、20年型も検討に値するのではないかとの見方をお伝えしました。

  また、当方からは、2社の固定金利期間選択型のローンと固定金利のフラット35を金利ごとに比較したデータをお示しし、フラット35も選択肢に入れるご提案をさせていただきました。変動金利が3%台だと固定金利期間選択型が有利ですが、4%台でほぼ同じ。5%台だとフラット35の方が有利という試算になりました。この結果をどう見るかは人により分かれると思いますが、団体信用保険の保険料を上乗せしても1%台の固定金利なら、金利上昇のリスクを負わず、安心していられるフラット35を選ぶというのも、堅実なご家庭にはフィットするかもしれません。

 あとはご主人に対して

・勤務先に住宅ローンの優遇制度がある場合があるので聞いてみる事

・ボーナス払いも適切な額行った方が毎月の負担が軽くなる事

・ローンは65歳までに完済するプランにした方が将来苦労しなくて済む確率が高い事

また、現在組もうとされているローンの額を年収と比較する返済負担率がやや高いことから、予算を縮小する余地がある場合は、そのようにした方が、ゆとりのある生活になるとの見通しをお示ししたところ、ご夫婦も、同じように考えていたとのことでした。

 今後は、ローンの候補をいくつかに絞り、保証料や、繰り上げ返済手数料など細目も慎重にチェック比較して最終的に決定する流れとなります。

ファイナンシャルプランナー・住宅ローンアドバイザー

福本 芳朗

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