コロナの中で働き方をめぐる重要な法改正がありました。

2020年06月23日(火)

コロナの中で働き方をめぐる法改正。

 

コロナという大波に飲み込まれた今年の春、働き方をめぐる重要な法改正がありました。

 

一つは高齢者の就業促進を後押しする、高年齢者雇用安定法等改正(施行2021年4月)、もう一つは、非正規雇用の待遇を改善するパートタイム・有期雇用労働法の施行(中小企業は2021年4月施行)です。

 

高年齢者雇用安定法等の改正は

企業に70歳までの定年延長、定年廃止、70歳までの継続雇用、フリーランス契約への資金提供、企業支援、社会貢献活動参加への資金提供などを努力義務として求めるもので、将来の義務化も視野に入れたステップとなります。

 

総務省の人口推計によると、少子高齢化で人口は2065年には8800万人あまりに減少します。特に深刻なのは生産年齢人口(15~64歳人口)が2018年の7545万人から2065年には4529万人に落ち込み、労働力不足が深刻化するという点です。この人手不足を高齢者にもっと働いてもらうことで補おうというのが改正の主な狙いです。

高齢者の側から見ても、長寿化が進む中、年金が減り、健康・介護保険料が上がり、老後資金が不安になってきています。長く働いて老後資金を増やせる環境整備が求められています。

内閣府の「高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」によると65歳以降も働きたい

と考えている人は65.9%。このうち約3割の人が「働けるうちはいつまでも働きたい」と答えています。

多くの企業は、65歳までは何らかの形で働き続けられる制度が整いつつあります。

しかし、66歳以上でも働ける制度のある企業は27,6%に過ぎません*1

政府が高齢者雇用促進を加速する上で壁となるのが高年齢齢雇用者の賃金です。

60歳直前の賃金を100とすると、現在61歳時点の平均値は約79%で平均賃金約355万円、

66歳時点の平均値は61%に落ち込み、平均賃金は約274万円です。*2

 

制度を機能させるには。高齢者の働きぶりに応じた適正な賃金の支払いが必要ですが、企業の4割は高齢者の評価制度を導入するつもりはないと答えており、賃金問題の解決が最大の課題となりそうです。*3

 

一方、もう一つのパートタイム・有期雇用労働法は、これまでさんざん言われてきた、正社員とパートタイム、派遣労働者等との間の待遇の不当な格差を解消しようというものです。

 

低賃金の非正規雇用の拡大は企業にとってはメリットもありましたが、社会格差の拡大による社会不安や消費の低迷・経済停滞の元凶とも指摘されてきました。また、高年齢雇用者は非正規雇用が多いことから、パートタイム・有期雇用労働法は高齢者雇用にも大きな影響を与える内容となっています。

 

法律の骨子は、

1、 不合理な待遇差の禁止:同一企業において正社員と非正規社員との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇差について不合理な待遇差を設けることを禁止。

2.労働者に対する待遇に関する説明義務の強化:非正規社員は「正社員との待遇差の内容や理由などについて事業主に説明を求めることができる。事業主は非正規社員から求めがあった場合は説明をしなければならない。また、事業主は説明を求めた非正規社員に不利益的な扱いをしてはならない。

3.行政による事業主への助言、指導者や裁判外紛争解決手続き(行政ADR)の整備を行う。

となっています。

正社員と非正規社員の職務の内容と配置の変更の範囲(配属などの範囲)が同じだったら、均等待遇(原則同じ待遇とする)、そして、職務の内容と配置の変更の範囲に違いがある場合は均衡待遇(不合理な待遇差の禁止)の対象となります。

 

政府は同一労働同一賃金のガイドラインや、待遇の違いについて説明を求められたときの説明書モデルを作成して事業者に法の順守を求めています。

様々な裁判でも今回の法律の考え方に沿った判例がでており、賃金や福利厚生など企業の非正規雇用者への対応は今後大きく変わって行きそうです。

 

こうした中、5月29日には年金制度改革関連法も成立し、2022年に施行されることになりました。コロナの影響が今後も続く一方で、変化する高齢者や非正規雇用者の働き方、そして資産設計への対応が必要となります。

 

福本芳朗

 

*1 「高齢者雇用の現状について」(平成30年 厚労省)

*2,3 「高齢者雇用に関する調査」(令和2年 独立行政法人労働政策研究・研修機構)

 

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